Feel Wind Orchestra

フィール・ウインド・オーケストラ


第24回定期演奏会 プログラムノート

『Shall We?』

舞踏会へようこそ。古今東西ひとの営みに歌と踊りは欠かせぬもの。

今宵は皆さまをあらゆる踊りでおもてなし(昼ですけど)。

時を超え海を渡り、音楽とともに気ままに踊り明かそう!

 

~1STSTAGE~

『舞踏会の美女』

 

幕開けはとびっきりの美女とのワルツを。

アンダーソンさん自慢のご令嬢には紳士からのお誘いが引く手あまた。

アンダーソンといえばタイプライターやそりすべりで有名。肩ひじ張らず舞踏会をお楽しみに。

とはいえ、ちょっと照れ屋な貴女は壁ぎわに寄りかかったままの「ウォール・フラワー」。

でも大丈夫。マエストロの仕掛けに乗って一歩ステップを踏めばたちまち舞踏会の華。

 

『雷鳴と稲妻』

 

シャンパンでもお召しになられたか、たった1曲でほんのり上気したご様子で。

でも安心して下さい、寝させませんから!

国を二分した親子音楽合戦(要するに親子ゲンカ)で有名なヨハン・シュトラウスⅡ世(息子)。

ワルツ王と呼ばれつつオペレッタやポルカも大好きな彼の人気曲、雷様の登場です。

気持ちの良い穏やかな昼下がり、外を眺めると山の向こうで遠雷が。

夕立ちでもあるかなと思った矢先に「念力集中♪ピキピキドカーン!」

大太鼓が雷鳴、シンバルが稲妻で有名なこのポルカ、本日は打楽器のオヤジが頑張ります。

Wikipedia調べではヨハンさん、嵐の日には笑みを浮かべて外の風景を飽くまで眺めてるヤバい人とか。

 

『メヌエット』

 

ピアノを始めたばかりの小さな子供が、その小さな手で奏でる可愛いメヌエット。

誰もが知ってるあの曲、長いことバッハ先生の曲と伝わってましたが、どうやらペツォールト作?

この方が誰だかは置いといて(調べられなかったわけでない、断じて)、とても癒されるメロディは、ザ・トイズが「ラヴァーズ・コンチェルト」としてカバーし人気を博す(もちろんバッハ作として笑)。

本日はマエストロ西村が遊び心たっぷりにアレンジした「Star Dust Menuet」。

外は嵐で大荒れですが、緩い3拍子のメヌエットと7/8拍子の軽やかなステップで一息入れましょう。

『仮面舞踏会』

 

今宵の舞踏会はマスカレード(昼ですけど)。

上流階級がスンとすました社交界にはあきあき。たまには悪戯心を仮面で隠し気ままな一夜を。

なーんてオペラ座の怪人的な不埒なマスカレードをイメージしたあなた、安心して下さい、重いです!

本日はロシア音楽の大家ハチャトゥリアンの手により全14曲からなる劇音楽からの3曲。

原作の戯曲はロシアの貴族社会を風刺しており、詳細は割愛しますが(面倒な訳では決してない!)触りだけ。

~賭博師の主人公はバクチで全財産すった公爵様をこれまたバクチで救ってやり、二人は仮面舞踏会へ。

公爵が口説いた女性が自分の妻ではないかと疑った主人公は、不信を募らせ毒入りアイスクリームで妻を殺害してしまう。

そこへ主人公がかつてバクチで破滅させた男が現れ、主人公は男の策に陥り過ちを犯したことに気がつき発狂する~

何とも救いのないお話ですが、当のハチャトゥリアンはいたくお気にいりで、彼の告別式ではこのワルツが演奏されている。

貴族社会の威厳と風格を帯びた美しさのまま、浅田真央さんが五輪で舞ったⅠ.ワルツ。

舞踏会の華やかさとそこはかとない哀愁が絡んだⅢ.マズルカを挟み、マスカレードもお開きのⅤ.ギャロップへ。

追い立てられる馬のごとく、時に足がもつれながらも駆け抜けるさまは、原作が悲劇であり喜劇でもあるからか。

~2ndSTAGE~

『マンボ№5』

 

ウ~~~♪マンボ!!

懐かしのペレス・プラード(写真)の超ヒットナンバー。

1stステージから180度ぐるっと回ってラテンのノリをお楽しみを。

マンボのリズムに乗って踊る踊る踊る?

『東京ブギウギ』

 

これまた懐かしのブギの女王、笠置シヅ子(写真)のお出まし。

服部良一との名コンビで戦後の重苦しい空気を吹き飛ばした踊る歌姫。

エネルギッシュなリズムとシンプルなメッセージに心踊る。

そうクリアアサヒ♪違う!東京ブギウギ♪

 

『ムーンライト・セレナーデ』

 

あくのつよ~い踊りでちょっと息が上がったフィール・シニアチーム。

ゆったりまったりとカクテルでも傾けながら一息つきたい。

ダンスバラードとして有名なグレンミラーの定番でチークタイムなひと時。

「月の光」ならぬ星の瞬きとともにお楽しみを。

 

 

『唱』

 

うっせえうっせえわ!ごたく並べた解説うっせえわ!

はいAdoさんに怒られました。超シンプルに紹介を。

聴いてください。観てください。

 

 

『セプテンバー』

 

アース・ウインド&ファイヤー!

ディスコ全盛時代を彩ったアフリカ系ファンクバンドからの熱いナンバー。

ディスコとクラブの違いも知らんけど、選曲者の歳がバレるな。

音楽堂ってことを忘れてノっちゃって♪トランペットのおじさま逝っちゃって♪

お手許のケミカル・ライト、言われるまで折るなよ!まだ絶対折るなよ!!

~3rdSTAGE~

『アルメニアン・ダンス』

 

昭和生まれの吹奏楽関係者にとっての巨人・大鵬・卵焼き。例えが昭和過ぎてすみません。

吹奏楽の神様アルフレッド・リード(写真)のど定番。昭和生まれの前でアルメをディスったらシバかれます、マジで。

団長挨拶にあるように、題材となったのはアルメニア地方に伝わる民謡で、同地の修道僧であったコミタスが蒐集したアルメニア人の魂。

オスマントルコ、神聖ローマ帝国、帝政ロシアに囲まれるアルメニアの2千年は侵略と迫害の歴史。

 

アルメニア人のレーゾンデートルを音楽で打ち立てようとしたコミタスはその人生の絶頂期、オスマントルコによる150万人もの大虐殺を目の当たりし、失意のなか世を去る。

 

1楽章(アルメニアン・ダンスPart1)

 

高らかなファンファーレに導かれるのはアルメニアの不遇を嘆く「あんずの木」。枯れ果てた果樹園にただひとつ実をつけたあんずの木。赤い花をつけたあんずを恨めしく歌うのは哀しみの暗示か。

一転、赤い足のやまうずらが連なって可愛く歩くさまを子供たちが歌う「やまうずらの歌」をはさみ、花嫁を迎える喜びをリズミカルに歌う愛のうた「ホイ、ぼくのナザン」。

聖グレゴリオスが祈りを捧げ、天からランタンが降りてきたと伝わる「アラガツ山」(写真)。澄んだ魂を持つものがランタンを見ることができるとされるアルメニア人の希望の象徴を荘厳に歌いあげ、突然、はつらつとユーモラスなメロディが駆け抜ける「ゆけ、ゆけ」。

スピード感あふれる明るいサウンドはアルメの真骨頂。安心して下さい、まだまだ終りませんから。

 

2楽章(アルメニアン・ダンスPartⅡ) 風よ、吹け(農民の訴え)

 

日照りにより農作物が失われるなか一人の若者が「風よ吹け、雲よ日陰を与えよ、大雨よ海を呼べ」と山に祈りを捧げる。

「山よ谷よ、野原よ川よ 流れ下る優しき流れよ さあ目覚め、私の声を聴き わが心の悲しみを見たまえ」

 

3楽章(アルメニアン・ダンスPartⅡ) 婚礼の踊り(クーマー)

 

花嫁のクーマー(フマル)と新郎サハクの結婚を祝う婚礼の歌。いまも結婚パーティで歌い継がれる美しくリズミカルな舞曲。

結婚を知らせる鐘が鳴り一族郎党、近所の仲間が集まったら新郎新婦のご登場。

飲んで歌ってお腹いっぱい。フマルは髪をたなびかせ喜びの踊りだ。オヤジさんおめでとう、乾杯。 

 

4楽章(アルメニアン・ダンスPartⅡ)

ロルヴァ・ホロヴェル(ロリの歌)

 

アルメニア北部のロリ地方(写真)に伝わる農耕歌。隣組同士が協力し、24頭のバッファローで大型の鋤を曳き、農地を耕す。

「神を讃えよ~ 神を讃えよ~ バッファロー頼むぞ~ 耕せ~」と声を掛けあうさまが曲の冒頭や中間部に再現される。

前半と後半はリードが「直感で書いた」と述べるに留まり、恐らく民謡から採取せず自由に創作したのか。

最終楽章であり、弾け飛ぶ強烈なリズム、スピード違反のドライヴ感、1楽章の「ゆけ、ゆけ」もひれ伏す怒涛のラストへ。

やっちゃえフィール。


 「メンバーによるブログ」のページでは、各パートの団員が本日の演奏会の見どころ・聴きどころや、演奏会準備の舞台裏などを紹介していますので、開演まで、ぜひそちらもご覧ください。